季節のイベントは子どもの成長にとって、大きな節目になりますよね。
中心になるポイントを、大人がしっかり把握して、子どもに伝えるチャンスなのです。
この記事では「他にはない視点」で子どもへ大切なポイントを伝える方法を解説します。
あなたも必ずスッキリと理解できますよ!
七夕の由来を理解しましょう
「七夕」の意味を調べると
(棚すなわち横板のついた織機の意)
「たなばたつめ」の略。古事記[上]「あめなるやおと―のうながせる」
五節句の一つ。天の川の両岸にある牽牛星と織女星とが年に一度相会するという、7月7日の夜、星を祭る年中行事。中国伝来の乞巧奠きこうでんの風習と日本の神を待つ「たなばたつめ」の信仰とが習合したものであろう。奈良時代から行われ、江戸時代には民間にも広がった。庭前に供物をし、葉竹を立て、五色の短冊に歌や字を書いて飾りつけ、書道や裁縫の上達を祈る。七夕祭。銀河祭。星祭。秋。蜻蛉日記[上]「祓ひのほども過ぎぬらん、―は明日ばかりと思ふ」広辞苑第六版より
広辞苑にはたくさんの説明がありました。
まとめると、次のようにできます。
・星を祭る年中行事
・乞巧奠(きこうでん)の風習と「たなばたつめ」の信仰とが習合したもの、と考えられている
・奈良時代から続いている行事
・短冊に願い事を書いての飾り付け、祈り
五節句(※下に説明)は、元々邪気を払うのが目的とされています。
季節の変わり目ごとに、人々の安全や作物の良い収穫を願ったものです。江戸幕府が制定されたとされています(参考文献参照)。
この「邪気」というのは「素直でない」、「ねじけた気持ち」、「わるぎ」、良くない感情の時に流れる「気」などの意味があるのです。
マイナスの感情や健康状態、収穫についても良い方向へ向かうようにという祈りの心が中心に流れているのです。
人日(じんじつ。正月七日)
上巳(じょうし。三月三日)
端午(たんご。五月五日)
七夕(しちせき。七月七日)
重陽(ちょうよう。九月九日)
<出典:大辞林 第三版>
押さえたいポイントは『祈りの心』
乞巧奠(きこうでん)の意味
(キッコウデンとも。女子が手芸に巧みになることを祈る祭事の意)陰暦7月7日の夜、供え物をして牽牛けんぎゅう・織女星をまつる行事。中国の風習が伝わって、日本では宮中の儀式として奈良時代に始まり、後に民間でも行われた。秋。 →たなばた広辞苑第六版より
中国の行事から始まった風習なのですね。
星に願いを込めてお祈りする心は理解できますよね。
時代と共にお祈りする内容も広くなってきたのです。
押さえたいポイントは『お祈りする心』
おりひめとひこぼし伝説
8月初旬の星空で、ひときわ輝く星が2つあります。
ひとつは琴座にあるベガという星で、裁縫の仕事をつかさどる星と言われています。
もうひとつは、鷲座のアルタイルという牽牛星(けんぎゅうせい)で、農業の仕事をつかさどる星と、古代中国では考えられてきたのです。
このふたつの星の間には「天の川」と呼ばれる無数の星が集まって、遠くから見ると川のように見える「星でできた川」があるのです。
七夕の頃に、このふたつの星が一年中で最大に輝きを見せることから、お互いが求め合っていると理解したことからできたのが、この伝説なのです。
日本でも、おりひめとひこぼしが念願の「再会」が成就された、という伝説が存在していたのは、万葉集の時代からもしっかりと理解できるのです。
人々も、この2人のように「願いがかないますように」という思いを短冊に記して「笹や竹の葉」に飾るようになったのですね。
笹や竹の葉は、常緑樹でまっすぐに育つのが特徴です。
この生命力にあふれた常緑樹を、人々は神聖な植物ととらえています。
神聖な植物を、川や海へと流す風習も古くからあるのです。
ここでは神聖な植物が悪い気、すなわち邪気を払い流すという意味があるのです。
押さえたいポイントは『お祈りする心』
「たなばたつめ」の意味
はたを織る女。秋さり姫。万葉集[10]「わがためと―のそのやどに織る白たへは織りてけむかも」
織女星しょくじょせい。棚機姫とも。秋。万葉集[8]「ひこぼしは―と…いなうしろ川に向き立ち」広辞苑第六版より
驚くことに、万葉集には七夕に関する歌が132首もあるのです。
それも相手を愛しく思う恋の歌なのですね。特に、いちずで真っ直ぐな心が歌われています。
ここに登場しているのが「おりひめ」という「たなばたつめ」なのです。
現在の「七夕(たなばた)」という読み方の原型は「棚機女(たなばたつめ)」が使っていた織り機の「棚機(たなばた)」からきているのです。
たなばたつめは、豊作の願いや人々の汚れを払うために選ばれた乙女です。
目的は禊ぎ(みそぎ)という古くからの行事を行うことです。
たなばたつめは、着物を織り、これを神に奉納し、祈りを捧げることが役割なのです。
この時の住まいが清らかな水辺にある機屋(はたや)と言います。
人々のために、神に仕えてまっすぐに生きる誠実な女性のイメージがありませんか?人々のために神に祈る人、また、神と人々に仕える人と理解できます。
この女性が一途に恋い焦がれる相手がひこぼしなのです。
本当に長い長い歴史的な流れがあって、現在の七夕になっているのですね。
押さえたいポイントは『祈る人、仕える人、真っ直ぐな心』
七夕の由来を説明しましょう
子どもに対して分かりやすく
伝えたいポイント(括弧内は根拠)
・昔から人々が季節の変わり目ごとに、祈りを捧げてきたこと(五節句)
・祈りの内容は、みんなの健康や安全、生活に必要なものが充分に手に入ること(五節句、たなばたつめ)
・祈りの心は「まっすぐ」で「変わらない」ことが大切なこと(乞巧奠、織姫と彦星)
・不可能と思えることも願い続けると実現すること(乞巧奠、織姫と彦星)
・祈願成就のお手本になるのが、織姫と彦星ということ
このポイントをもう少しシンプルにすると、次のようになります。
・季節ごとに大切な祈りがあること
・家族や周りの人のことを心にかけること
・まっすぐな心・あきらめない心で願い求めること
・願いは実現するということ
・織姫と彦星が良いお手本だということ
この部分を実際に行動で示すのが『短冊』なのです。
もう迷わずに、子どもに何をどうするのか伝えられますよね。
もちろん、短冊を作る目的も分かりますよね。
そして、短冊に記す内容もアドバイスできます。
ポイントもシンプルに伝えられます。
短冊についてはこちらで詳しく説明しています
まとめ
国や歴史や時代が違っても、人が素直に抱く心には変わらないものがあります。
自分たちの子どもへ伝えたい「心」は今も昔も変わらないものがあるのですね。
子どもへは「素直な心」や「真っ直ぐな心」の大切さを教えたいのです。
そして、その心を持って育ってほしいのです。
願いが実現することは、大きなことではなくて、小さいなことの積み重ねなのだ、ということも伝えたいのです。
これを繰り返していくと、笑顔に出会うことがたくさんある、ということも伝えたいですよね。
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★この記事は、「言葉の意味」について下記の書籍を参照しました。
新村出編 (2008) 『広辞苑第六版』 岩波書店.
『節供の古典-花と生活文化の歴史-』(雄山閣出版 1993年)
参考:国会図書館ホームページ
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